【納豆の栄養-03】健康成分(セレン/ビタミンB2/レシチン/コリン)と効果

  • 2022年2月13日
  • 2023年11月19日
  • 納豆

納豆には様々な健康効果を有する栄養成分、健康成分が含まれることをお伝えしてきました。

これまで「ナットウキナーゼ」「ジピコリン酸」などの健康効果を解説してきましたが、今回は微量成分を含めた栄養成分についての解説です。

関連記事『【納豆の栄養-01】豊富に含まれる健康成分「ナットウキナーゼ」を徹底解説!

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納豆の栄養成分「セレン」の健康効果

セレンは、セレノシステイン残基を有するたんぱく質(セレノプロテイン)として生理機能を発現し、抗酸化システムや甲状腺ホルモン代謝において重要です。

代表的なものに、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPX)、ヨードチロニン脱ヨウ素酵素、セレノプロテイン P、チオレドキシンレダクターゼなどがあり、欠乏すると、心筋障害を起こす克山病(Keshan disease)、カシン・ベック病(Kashin Beck disease)などを引き起こすとことが知られています。

元素記号Se(原子番号34)、ヒトの必須元素の1つであり、1日の必要量は24μg程度とされています(日本食品摂取基準2020より)。サプリメント等による過剰摂取により健康被害が起きることが知られており、800μg/日以上を続けた場合、毛髪と爪の脆弱化・脱落(脱毛や爪の形態変化を伴うセレン中毒)などが起きるそうです。

日本人は魚介類の摂取が多く、かつセレン含量の高い北米産の小麦と家畜飼料に由来する小麦製品や畜肉類を消費しているため、成人のセレンの摂取量は平均で約 100 µg/日に達すると推定されており、通常は欠乏しない成分であると考えられています。

納豆の栄養成分「ビタミンB2」の健康効果

ビタミン B2 は、リボフラビンと呼ばれ、補酵素 FMN 及び FAD として、エネルギー代謝や物質代謝に関与しています。最近、FDAはアンチエイジング効果が期待できるとして着目されるNMNと深い関係があります。

関連記事『【納豆のアンチエイジング効果をアップ!】一緒に摂るべき栄養成分NMNについて徹底解説

TCA 回路、電子伝達系、脂肪酸のβ酸化等のエネルギー代謝に関わっているので、ビタミン B2が欠乏すると、成長抑制を引き起こします。また、欠乏により、口内炎、口角炎、舌炎、脂漏性皮膚炎などが起こることが知られています。

一日の必要量は成人男性で1.3mg、成人女性で1mg程度とされています。また、妊婦さんは1.2mg、授乳婦さんは1.5mgが必要量となります。欠乏するとエネルギー産生等に影響が出るため非常に問題になりますが、過剰摂取については尿で排出されるため問題はほぼないと考えられています。

納豆1パックには約0.26mg程度含まれるため、足りない分を補充することが出来ます。

納豆の栄養成分「レシチン」の健康効果

レシチンとは、リン脂質と呼ばれる脂質の一種でホスファチジルコリンとも呼ばれています。人の体内のリン脂質の中では最も多く、細胞膜などの生体膜や脳、神経組織の構成成分として重要な働きをしています。

リン脂質は、細胞膜を構成する主要な成分で、皮膚細胞の再生や維持には欠かせません。また、体内で脂質代謝を助ける役割やコレステロールを肝臓に運ぶ働き、様々な情報伝達に関与するなど生命維持に必要不可欠な物質です。

様々な生理機能があり、副交感神経の刺激を伝える働き(アセチルコリンなどに合成されて)、学習や記憶、睡眠などにも関わっています。また、肝臓を保護する働きもあり、ビタミンA、Eの吸収も助けます。

卵黄や大豆、酵母やカビ類に多く含まれています。

健康食品や食品添加物(乳化剤)として使用されています。

レシチンの主成分「ホスファチジルコリン」不足患者12名にレシチンの主成分ホスファチジルコリンを1日あたり2g を摂取させたところ、言語能力と視覚機能ならびに言語記憶能力に改善が見られたことから、レシチンには記憶力および認知機能改善効果があると推測されています。

納豆1パックには、約700mg程度のレシチンが含まれています。

参考文献
Verbal and visual memory improve after choline supplementation in long-term total parenteral nutrition: a pilot study, A L Buchman etal., JPEN J Parenter Enteral Nutr, Jan-Feb 2001;25(1):30-5.
全国納豆協同組合連合会納豆PRセンターHP
奇跡の納豆パワー(須見洋行著)

納豆の栄養成分「コリン」の健康効果

1998 年にアメリカ医学研究所の食品栄養委員会によって新しい必須栄養素と指定された水溶性ビタミン様物質で、食事摂取量が定められた成分です。

コリンは生体の細胞膜の構造を維持するために重要であり、神経伝達物質のアセチルコリンの前駆物質としての役割を担い、メチル基の代謝系でメチル基を供給する代謝サイクルにおいて重要な役割を果たしているそうです。

体内のコリン量が十分でないと肝機能障害、認知機能や免疫機能の低下などを生じることが知られています。特に肝機能においては、コリン欠乏食を摂取すると血中の AST(aspartate aminotransferase)と ALT(alanine aminotransferase)の濃度上昇が顕著にみられますが、コリンの摂取を再開すると速やかに AST と ALT が低下すること、肝臓以外の臓器ではほとんど合成されず、コリンの主な供給源は食事由来であること、および機能を鑑みて、アメリカではビタミン様物質として認められています。

アメリカでは特に、妊婦や授乳婦に対してはコリン摂取の強化が必要だといわれています

これは、Zeisel らの研究で、周産期のコリン摂取が胎児や乳幼児の脳構造の構築とその機能に重要な役割を果たしていることが指摘されているのが理由らしいです。

脳の発達段階にある乳幼児は、通常母乳から栄養を摂取していますが、母乳脂肪球はリン脂質の一層膜を構築しており、母乳には水溶性物質を中心に豊富なコリン化合物が含まれているのです。

なお、納豆に豊富に含まれる葉酸は妊婦さんには必須の栄養成分であるという関連記事もご覧ください。

関連記事『【徹底解説】納豆で『幼児期までの健康リスク低減』が期待できる理由!

アメリカでのコリンの目安量(AI)に関しては、Zeiselらのコリン欠乏食実験による肝機能低下の結果から成人の AI は男性 550 mg/ 日、女性 425 mg/ 日と設定されています。一方、コリンの過剰摂取がもたらす悪影響としては、コリン作動性の副作用(例えば,発汗,下痢)および魚臭様体臭の発生と共に低血圧が挙げられているため、成人に対する耐容上限量(UL)を 3.5 g/ 日と定めています。

納豆1パックには、約700mg程度のレシチンが含まれているため、コリンの主要な補給源となり得ます。卵黄やレバー、肉類からも摂取できます。

コリンの健康効果としては、記憶力や肝機能を高める効果、動脈硬化を予防する効果、血圧を下げる効果などが考えられます。

食事ホスファチジルコリン摂取量の増加は認知症発症リスクの低下と関連していたとのことです。総コリンおよびホスファチジルコリンの摂取は、前頭葉と側頭葉機能を評価する認知試験において、良い成績と関連したことから、日々の摂取が大切だと考えられました。

参考文献
Associations of dietary choline intake with risk of incident dementia and with cognitive performance: the Kuopio Ischaemic Heart Disease Risk Factor Study, Maija etal., Am J Clin Nutr 2019;110:1416–1423

まとめ|納豆を食べて健康効果を持つ栄養成分をとりましょう!

まとめ|納豆を食べて健康効果を持つ栄養成分をとりましょう!
イラストAC
https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=23877030

納豆には「ナットウキナーゼ」「ジピコリン酸」をはじめとする様々な健康効果を有する栄養成分が豊富に含まれていることを解説しました。

納豆を夕食で毎日食べることを、健康維持のためにぜひおすすめします。

子供からお年寄りまで全ての世代の方におすすめしますが、特に妊婦さんは可能であればぜひ食べてくださいね。

納豆の健康効果についてのまとめ記事もぜひご覧ください。

まとめ記事『【納豆のすごい効果のまとめ】健康維持に役立つ理由を徹底解説!

 

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