【納豆のアンチエイジング効果】女性や高齢者におすすめの健康効果を徹底解説!

  • 2022年11月26日
  • 2023年11月19日
  • 納豆

納豆と聞くと、「健康によい」というイメージがわくと思います。それは、納豆には多くの機能性成分が含まれており、さまざまなメディアで健康効果が紹介されているからです。

みなさんは、納豆にどのような効果があるのかについてもっと詳しく知りたいと思いませんか?

たとえば、以下のように疑問に思われることがあるでしょう。

「どのようなアンチエイジング効果があるの?」

「なぜ腸内環境改善効果があるの?」

「免疫調節作用はどのような成分が働くの?」

どのような成分がどのような健康効果を持っているかについて詳しくお伝えします。
まずはアンチエイジング作用についての解説です。

健康効果成分名
アンチエイジング

ポリアミン
ビタミンK2
ナットウキナーゼ
イソフラボン

アンチエイジング効果をもつ納豆の機能性成分について解説

アンチエイジング効果をもつ納豆の機能性成分について解説
イラストAC https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=23235783

納豆に豊富に含まれるアンチエイジング効果をもつ機能性成分には、上記したように、ポリアミン、ビタミンK2、イソフラボンなどがあります。

また、ビタミンB群も多く含まれており、恒常性の維持、健康維持に役立ちます。

なお、関連記事もありますので参考にしてください(【女性におすすめ】納豆を毎日食べる健康効果は?栄養や機能性など徹底解説!

ポリアミン

納豆や味噌などの大豆発酵物、チーズやヨーグルトなどの乳発酵物、キノコ類、ナッツ類、貝類などに多く含まれる成分で、細胞を持つ生物に普遍的に存在します。

ポリアミンは、細胞分裂や新陳代謝などの正常な細胞機能に必須の成分な成分です。アミノ酸の一種であるアルギニンやオルニチンから体内で合成されますが、加齢とともにその合成量は減少していきます。

でも、ご安心ください。食事でポリアミンを摂取すると血中濃度が上昇することが明らかになっています!

人の身体の中には20種類ほどのポリアミンがありますが、特に重要なのはスペルミン・スペルミジン・プトレシンの3種類であり、様々な有用性が確認されています。

抗炎症作用や老化の抑制、動脈硬化の予防、美肌や爪や髪などの新陳代謝、DNAの保護、認知症予防、ガンとの関連性などについて世界中で研究されています。

人での研究(ポリアミンと老化の関連性)

LFA-1というタンパク質は炎症に関連していますが、血中スペルミン濃度と血中リンパ球の細胞表面 にあるLFA-1 量の関係を調べた研究があります。血中スペルミン濃度が低いほど、 LFA-1 量は多いことが明らかになりました(下図)。

また、加齢とともに血中スペルミン濃度が減少することも確認されています(下図)。

健康な成人男性の血中リンパ球の細胞表面にある LFA-1 の量と年齢の関係を検討したところ、加齢に伴って LFA-1 量が増加することも確認されました。このことから、血中リンパ球の細胞表面にあるLFA-1の量と血中スペルミン濃度、年齢は相関関係があるといえます。

つまり、加齢により血中ポリアミン濃度が低下することで体内で炎症が増加することが推測されます。その結果、血中リンパ球の細胞表面にあるLFA-1の量が増えているのでしょう。

ネズミでの研究(ポリアミンとアンチエイジング)

ポリアミンを配合したエサまたは無配合のエサをネズミに与えた場合を比較した研究報告です。

ポリアミンを配合したエサを食べたネズミでは無配合のエサを食べたネズミよりも血中ポリアミン濃度が有意に増加しました。また、ポリアミンを配合したエサを食べたネズミは毛並みや動きが良く、寿命も延びました

なお、リンパ球の細胞表面に存在するLFA-1 量は若いネズミ程度の量まで減少していることも確認。つまり、ポリアミンを食事で摂ることはアンチエイジング効果が期待できるということです。

人での試験(納豆を食べると血中スペルミン濃度が上昇)

健康な男性成人に毎日60g程度の納豆を食べ続けてもらう実験では、8 週間ほどで血中のスペルミン濃度がほぼ全員で上昇しました。

つまり、納豆を毎日1~2パック食べることで血中スペルミン濃度を上げることができるということです!

血中スペルミン濃度が上がるとアンチエイジング効果が期待できることから、納豆でアンチエイジングを図り、健康を維持しましょう。

参考文献
・高ポリアミン食による哺乳類のアンチエイジング、自治医科大学大学院循環器病臨床医学研究所、早田邦康、Nippon Shokuhin Kagaku Kogaku Kaishi,2014,61(12), 607-624
・抗炎症物質とアンチエイジング 、一般社団法人全国発酵乳乳酸菌飲料協会/発酵乳乳酸菌飲料公正取引協議会HPより 自治医科大学附属さいたま医療センター 早田先生
・Long-term oral polyamine intake increases blood polyamine concentrations,Soda etal.,J Nutr Sci Vitaminol.,2009,55,361-366

ビタミンK2 

ビタミンK2には、骨折予防や骨粗しょう症予防効果、血栓症予防効果があります。ビタミンK2を多く含む納豆を毎日食べることで、アンチエイジング効果が期待できるでしょう

納豆を食べることで効率的にビタミンK2を身体に取り入れることができますが、ビタミンK2と骨折や血栓症の予防についての研究結果をいくつか紹介します。

納豆の骨折予防効果についての報告

閉経女性の大腿骨骨折は西日本が多く、東日本は少ないというゆるぎない事実。

納豆摂取回数が多い東日本(東京)では摂取回数の少ない西日本(広島)に比べて血中のビタミンK2濃度が5倍程度高いことが明らかにされています。つまり、納豆を食べることでビタミンK2が補給され、大腿骨骨折の予防効果が現れるのです。

また、別の研究報告では、頸部骨折も東日本では少なく西日本で多いことが明らかになっています。血中ビタミンK1濃度は変わらないのですが、非骨折者の血中ビタミンK2濃度は東日本に住む人で高いそうです。

これらの報告から、「納豆摂取による血中ビタミンK2濃度の上昇が骨折予防に寄与している」ことは間違いないと思われます。

納豆の骨粗しょう症予防効果についての報告

2001年に日本の科学雑誌『医学と生物学』に 茂手木氏らが投稿した論文は、納豆と骨粗しょう症に関する興味深い報告です。50歳以上の骨粗鬆症検診を受診した女性565人について、低骨密度群に納豆摂取する者が少なかったことから、納豆摂取量が少ないと骨密度の低下につながると推察しています。

実際に、現在ではビタミンK2の骨密度増加作用が確認され、治療薬にも用いられています。

また、ミツカン「金のつぶ ほね元気」は、納豆として初めて、特定保健用食品の許可を受けた食品となりました。納豆菌の働きによりビタミンK2を豊富に含んでおり、カルシウムが骨になるのを助ける骨タンパク質(オステオカルシン)の働きを高めるとのことです。

つまり、ビタミンK2を多く含む納豆を毎日食べることで骨密度が増加し、アンチエイジング効果が期待できるということですね。納豆ってすごい。

参考文献
・Japanese fermented soybean food as the major determinant of the large geographic difference in circulating levels of vitamin K2: Possible implications for hip-fracture risk. Kanekiら,Nutrition,2001,17,315–321
・退行期骨粗鬆症における血清ビタミンK濃度の検討,金木正夫ら,日本老年医学会雑誌,1995,32巻3号 
・納豆摂取および血中ビタミンKと骨密度との関連に関する疫学調査研究,茂手木甲壽夫ら,医学と生物学, 2001,142,31-34

ナットウキナーゼ

倉敷芸術科学大学の須見名誉教授が発見した成分で、血栓を溶かす酵素です。

その健康効果に大きな期待が込められ、色々な会社からサプリメントとして販売もされています。

ナットウキナーゼについての詳細な解説は関連記事『【納豆の栄養-01】豊富に含まれる健康成分「ナットウキナーゼ」を徹底解説!』をぜひご覧ください。

納豆の血栓症予防効果についての研究

納豆にはナットウキナーゼという血栓溶解作用をもつ酵素が多く含まれます。ナットウキナーゼを作ることができる菌のみが納豆菌として認められるという決まりがあり、ナットウキナーゼは納豆の納豆たるゆえんの成分なのです。

ナットウキナーゼは、倉敷芸術科学大学の名誉教授である須見洋行先生が発見した酵素で、とても素晴らしい機能性成分で医薬品と同等以上の強い活性があります。

また、納豆を食べることで長時間の血栓症予防効果が期待できることをご存じでしょうか?

心筋梗塞の治療ではウロキナーゼという血栓溶解薬を血中に注入しますが、この酵素は長くて30分程度しか効果が現れません。しかし、納豆を食べると8~12時間程度も血栓溶解効果が持続するそうです。

脳梗塞や心筋梗塞などの血栓症は夜中の3時頃に発症することが多いため、夕食に納豆を1パック摂取すれば朝まで効果が期待できるのです。高価な薬に頼らなくても、日々の納豆生活で予防できるのであれば、こんなに素晴らしいことはありませんね。

なお、ナットウキナーゼは健康食品としても販売されていますが、高価なため、ワーファリンなどの抗血液凝固薬を服用されている方にはおすすめします(ただし、ビタミンK2を含まない商品のみ)。

参考文献
・ナットウキナーゼの機能性研究の動向について,須見洋行,FOODSTYLE21,2006,Vol.10,No.10,55-59
・納豆は効く(須見洋行著)
・納豆菌が持つ特殊酵素「ナットウキナーゼ」その力価と特徴,須見ら,醸協,2011,第106巻,第1号,28-32

イソフラボン

大豆イソフラボンは、主に大豆の胚軸に多く含まれるフラボノイドの一種で、大豆の実を酸化などから守る働きがあります。また、女性ホルモンであるエストロゲンに似た構造を持っており、同様な作用を有するため、女性ホルモン様物質と呼ばれます

大豆イソフラボンには、ダイゼイン、ゲニステイン、グリシステインの3種類があり、これらに糖が結合した配糖体として存在します。消化管から吸収されるためには、糖が切断されたアグリコン型の状態になることが必要です。

豆腐や豆乳などに含まれる大豆イソフラボン配糖体は腸内細菌によって結合した糖が切断されてアグリコン型となるため、腸内環境が整っていないと吸収効率が下がります。

これに対して、納豆の大豆イソフラボンは納豆菌の発酵作用でアグリコン型になっているため吸収効率が高いのです。

アグリコン型の大豆イソフラボンの作用には多くの研究成果があります。抗酸化作用、骨粗しょう症予防効果(骨密度上昇)、美肌効果、生活習慣病の予防及び改善効果(コレステロール低減、血圧低下など)、更年期障害の改善などが確認されています

更年期障害の改善効果について

閉経後の女性14名にアグリコン型の大豆イソフラボンを3ヶ月間毎日摂取してもらったところ、血中のアグリコン型の大豆イソフラボン濃度が上昇するとともに更年期障害スコアが有意に減少しました(11名)。
内容は「ほてりが軽減した」とのことです。

つまり、アグリコン型の大豆イソフラボンを多く含む納豆を食べることは、アンチエイジングにつながるといえますね。

参考文献
大豆イソフラボンアグリコンの更年期障害に対する効果について,久保田ら,日本人間ドック学会誌,2002,Vol.17,No.2,62-67

納豆を食べるうえでの注意事項

納豆を食べるうえでの注意事項
イラストエイト https://illust8.com/contents/2947

ビタミンK1およびK2は血栓症に使われるワーファリンという抗血液凝固薬の作用を阻害するため、ワーファリンを服用している方は納豆を食べないようにしてください。同じ理由で、ビタミンK1を多く含有するクロレラや海藻、ケールなどの青菜類も控えた方が良いです。他の食品にもビタミンK1は含まれるため、トータル量を控える必要があります。

なお、決してビタミンK2が血栓症を引き起こすのではなく、あくまでも薬の作用を弱めるということです。
現在では、抗血液凝固薬としてワーファリンではなく、ビタミンKが関与しない薬が開発され処方されています。
ワーファリン以外のお薬に変更できるかをかかりつけのお医者様に相談してみてくださいね。
納豆を毎日食べる場合、大豆イソフラボンの摂取上限量を考慮して、1日2パックまでにしましょう!

まとめ

まとめ
イラストAC https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=2552128

納豆のアンチエイジング効果について解説しました。

納豆には、ポリアミン、ビタミンK2、アグリコン型の大豆イソフラボンなどが含まれるため、アンチエイジングの効果が期待できます

  • ポリアミンは慢性病を引き起こす原因とされる炎症を抑える効果が期待できる。
  • ビタミンK2は骨粗しょう症や血栓症を予防する効果がある。
  • アグリコン型大豆イソフラボンは骨折予防や抗酸化作用、更年期障害の緩和効果がある。

納豆は、健康のため毎日食べるようにしましょう。ただし、1日2パックまでとし、ワーファリンなどの抗血液凝固薬を服用されている方はかかりつけの医者に別のお薬に変更できるかどうかを相談してみてください。

1日に1パック食べる場合は、夕食で食べるようにする方が血栓症予防には効果的です。

本記事を読んで、納豆をあまり食べていない人が、健康維持のために毎日納豆を食べてくださると嬉しいです。

納豆を毎日食べて、アンチエイジングにつなげましょう!

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村