私は仕事での経験や個人の体験を通じて、納豆のすばらしさに魅了されました。
納豆は特に女性におすすめしたい発酵食品です。イソフラボンや食物繊維、ビタミンB群などを豊富に含む納豆は女性の美容と健康に欠かせません。この記事では、なぜ納豆が女性におすすめなのか?、どんな健康効果が期待できるかなどを詳細に解説します。ぜひ、参考にしてください。
納豆を毎日食べるとどうなるのか?
機能性食品である納豆は、毎日続けて食べることがとても大切になります。機能性食品とは、健康の維持や向上に役立つ成分を含む食品のことです。
ビタミンK2やイソフラボン、ナットウキナーゼ、ガンマポリグルタミン酸、ジピコリン酸、レバン、食物繊維などの健康成分や栄養成分を多く含む納豆は、味噌や醤油とともに日本の伝統的なスーパーフードともいえます。
納豆を毎日食べるとどうなるのかというと、健康に近づきます。納豆を食事に取り入れることは、健康維持にとても役立つからです。
納豆はスーパーフード
スーパーフードとは、アメリカで提唱された言葉で、「栄養バランスに優れており一般的な食品より栄養価が高い食品」もしくは「ある一部の栄養や健康成分が突出して多く含まれる食品」のことです。
納豆の健康成分の中には、女性や高齢者の方々にとってうれしい成分が多く含まれます。たとえば、ビタミンK2やイソフラボンは骨折および骨粗しょう症の予防効果、ガンマポリグルタミン酸やレバン、食物繊維はアレルギー予防と整腸作用、ポリアミンはアンチエイジング効果が期待されます。
また、栄養成分であるタンパク質が吸収されやすくなっていること、ビタミンB群を豊富に含むことも特筆すべき点です。
女性や高齢者の方々に納豆をおすすめする理由は、納豆の機能性と栄養にあります。
【納豆が身体によい】ことはよく知られた事実!
ただ、次のような疑問を持たれる方もおられると思います。
「納豆は毎日食べてもよいのか?」
「毎日食べ続けるとどのような健康効果が期待できるのか?」
「女性や高齢者におすすめという話は本当?」
「どのような栄養成分や機能性成分が含まれているのか?」
この記事では、毎日納豆を食べることのメリットや女性や高齢者におすすめする理由などを詳しく解説します。なお、納豆の匂いが苦手な人への納豆デザートも提案しますのでぜひ参考にしてください。
この記事を読んで、今夜からぜひとも納豆を食事に取り入れて頂けると幸いです。
納豆は毎日食べてもよい?
ここでは納豆を毎日食べることのメリットと食べる量の目安、食べにくい場合の対策などを説明します。
納豆を毎日食べることはおすすめ
納豆はタンパク質やビタミンB群など豊富な栄養成分を含むため、毎日食べることをおすすめします。納豆のタンパク質は納豆菌の持つ酵素で分解を受け、小さくなり、非常に吸収しやすくなっているため、タンパク源としてとても優れているのです。
ゆでた大豆ではタンパク質の吸収率は65%程度ですが、納豆では80%以上になります。食べた量の80%以上が吸収できるという食品はあまりないため、非常に効率的なタンパク源といえます。
1日に1~2パックが望ましい
納豆には、イソフラボンやセレンなどの摂取上限が決められている成分があるため、1日に1~2パック(40~100g程度)が望ましいでしょう。
デザートとして食べる
納豆の匂いが苦手な方は、デザートとして食べることをおすすめします。納豆デザートについてはこちらを参照ください。
毎日食べ続けるとどのような健康効果が期待できる?
納豆を毎日食べることで、骨の維持(骨密度の維持、骨粗しょう症や骨折の予防)に役立ちます。
毎日納豆を食べた妊婦さんから生まれた赤ちゃんのアトピー発生率は毎日食べなかった場合よりも半分程度まで低下したという医学調査結果があり、妊婦さんには本当におすすめ!
タンパク質やビタミンB群、セレンなど代謝に関わる栄養素を摂取できるため、恒常性の維持に役立つ。
豊富な食物繊維が腸内環境の改善に働くため、便通改善、美肌効果などが期待できます。
加齢により合成量が減少するポリアミンなどの成分を補給できるため、アンチエイジングにぴったり。
女性や高齢者には特におすすめという話は本当?
納豆には大豆イソフラボンやビタミンK2、ナットウキナーゼなどの女性や高齢者にとって優しい健康成分がたくさん含まれています。なぜ、大豆イソフラボンやビタミンK2、ナットウキナーゼが健康によいのかを解説します。
イソフラボンによるエストロゲンの補完効果
植物に含まれるイソフラボンは女性ホルモンであるエストロゲンに似た働きをする優れた機能性成分です。大豆には大豆イソフラボンが多く含まれていますが、大豆イソフラボンの健康効果について説明します。
イソフラボンって女性ホルモンの働きがあるの?
女性は常に女性ホルモンであるエストロゲンで守られていますが、加齢や体調不良により分泌量が減るとさまざまな不調が現れます。ほとんどの女性が更年期障害で悩まれていることから、エストロゲンの分泌低下はとても重大な問題です。
エストロゲン分泌低下による不調を和らげるためには、エストロゲンに似た構造を持ちエストロゲンの働きを助ける作用がある【イソフラボン類】を食品から摂取することをおすすめします。
実は、納豆には大豆由来のイソフラボンが豊富に含まれるため、納豆でイソフラボンを補給することはとても理にかなうのです。
納豆に含まれる吸収性の高いイソフラボンとは?
大豆に含まれるイソフラボン類は吸収されにくい形(糖が結合した「配糖型イソフラボン」とよばれる形)で存在します。
これに対して納豆では、結合している糖が外れた「アグリコン型イソフラボン」という非常に吸収されやすい形になっているのです。
納豆菌の発酵作用により吸収性のよいイソフラボンを摂取できるため、大豆や豆乳、豆腐よりもイソフラボンは納豆で補給することをおすすめします。
もちろん、タンパク源にもなり、栄養が豊富な煮豆や豆乳、豆腐などはお好みで食べてくださいね。
骨密度も増やすイソフラボンとビタミンK2
納豆に含まれるイソフラボン類やビタミンK2は骨密度を増やす働きがあるため、骨粗しょう症や骨折の予防効果が期待できます。
納豆の摂取量が異なる東日本と西日本では閉経女性の大腿骨骨折の発生率が大きく異なり、東日本で少ないという事実があります。詳細はこちらの記事をご覧ください。
大豆や豆腐などの大豆料理を食べるよりも納豆を食べるほうが効率的にイソフラボンを吸収できること、ビタミンK2は納豆に非常に多く含まれることから、納豆は毎日食べることをおすすめします!
ナットウキナーゼによる血栓症予防
ナットウキナーゼは納豆の独自成分で納豆からしか摂取できません。納豆菌と名乗れるのはナットウキナーゼを作るかどうかで決まるのです。
納豆に似た発酵物を作れる菌は多く存在しますが、ナットウキナーゼを作らないものは納豆菌になれないという決まりがあります。
ナットウキナーゼって何?
納豆には血栓溶解作用をもつナットウキナーゼという酵素が豊富に含まれます。ナットウキナーゼは、納豆の独自成分であり、納豆(もしくは納豆から抽出したナットウキナーゼ含有食品)からしか補給できません。
食品から血栓溶解作用をもつ成分を摂取できるのは納豆だけなのです!
ちなみに、オシッコの中にはウロキナーゼという血栓溶解作用のある酵素が含まれます。
脳こうそくや心筋こうそくなどの血栓症の発症率は加齢にともない上昇しますが、納豆による予防効果が期待できます。
ナットウキナーゼはアツアツには弱い!
ナットウキナーゼはタンパク質でできた酵素なので、70℃以上の熱で血栓溶解作用がなくなります。ナットウキナーゼの効果を期待して食べる場合は、加熱調理、熱いごはんや汁物と混ぜ合わせるのは避けましょう。
私はごはんの最後に少しだけ添付のたれをかけ、ネギを入れて食べるようにしていますが、お好みの方法で食べればいいと思います。
キムチをのせたキムチ納豆、ゆでオクラときざみ海苔を混ぜたオクラ納豆などもおすすめです。
もちろん、栄養源として食べる場合は、納豆チャーハン、納豆汁、納豆お好み焼きなど、美味しい料理はありますから、どんどん食べてくださいね。
ワーファリンなどの抗血栓薬を服用している方は要注意!
ワーファリンなどの抗血栓薬を服用している場合、納豆のビタミンK2により薬の作用に影響が出るおそれがあるため、納豆を食べるのは控えてください。
同じ理由で、ビタミンK1を多く含有するクロレラや海藻類、ケールなどの青菜類も控えた方がよいです。食べてもよいかどうかは、かかりつけのお医者様に必ずご相談ください。
他の食品にもビタミンK1やビタミンK2は含まれるため、総摂取量を控える必要があります。なお、決してビタミンK2が血栓症を引き起こすのではなく、あくまでも薬の作用を弱めるということですので、納豆を悪者扱いしないでくださいね。
どのような栄養成分や機能性成分が含まれているの?
納豆には、美肌効果をもたらすビタミン群や骨形成に関与するビタミンK2、人間にとって必須であるタンパク質などさまざまな栄養素を豊富に含みます。
また、セレンなどの微量元素は酵素の正常な働きに必須であるため、納豆を食べることは栄養補給の面でも非常によいことです。
納豆の栄養成分について
項目 | 糸引き納豆 (100gあたり) | 黄大豆(国産)ゆで (100gあたり) |
エネルギー (kcal) | 190 | 163 |
タンパク質(g) | 16.5 | 14.8 |
脂質(g) | 10.0 | 9.8 |
食物繊維総量(g) | 6.7 | 8.5 |
セレン (μg) | 16 | 2 |
モリブデン(μg) | 290 | 77 |
ビタミンK(μg) | 600 | 7 |
ビタミンB2(mg) | 0.56 | 0.08 |
ビタミンB6(mg) | 0.24 | 0.10 |
葉酸(μg) | 120 | 41 |
パントテン酸(mg) | 3.6 | 0.26 |
ビオチン(μg) | 18.0 | 9.8 |
日本食品標準成分表2020年版(八訂)より抜粋
納豆の栄養成分について、日本食品標準成分表2020年版(八訂)より抜粋して表にしました。納豆はゆで大豆とくらべて、エネルギーが少し高いですが、タンパク質、脂質、食物繊維などの含有量はほとんど変わりません。
注目すべきは、タンパク質、ビタミンB群やビタミンK2、微量元素です。
タンパク質
タンパク質はアミノ酸が多く連なってできた物質です。生体を構成する成分のひとつで、代謝に関わる酵素などを含めてタンパク質は生きるために必須となります。5大栄養素の1つです。
納豆のタンパク質はとても良質
納豆のタンパク質はアミノ酸スコアが100でとても良質なタンパク質であるため、栄養面でも優れています。
アミノ酸スコアとはタンパク質の栄養価を示す指標で、身体に必要な9種類のアミノ酸をバランスよく含んでいるほど100に近くなり、良質なタンパク質といえるのです。
基本的に植物性タンパク質はアミノ酸スコアが低いですが、大豆と納豆のアミノ酸スコアは100であり、まさに『畑のお肉』といえますね。
その他微量成分について
納豆にはさまざまな微量成分が含まれています。代表的な成分としては、セレンやモリブデン、亜鉛などの代謝酵素に必要な微量元素、身体を正常に保つために必要なビタミンB群、骨形成にかかわるビタミンK2などです。
これらの微量成分は納豆菌が作りだすため、納豆には原料の大豆よりもかなり多く含まれています。
セレンなどの微量元素は身体に必須の成分
セレンやモリブデンなどの微量元素は、酵素が働くために必須の成分です。酵素には活性中心という場所があり、ここにセレンや亜鉛、モリブデン、マグネシウム、銅、コバルトなどの金属がないと酵素がうまく働きません。
そのため、味覚異常、皮膚の異常、脱毛、血液や骨の形成異常などの不調の原因になります。
納豆は調理しなくてもセレン、モリブデン、亜鉛などの微量元素を手軽にとることができる素晴らしい食物です。
ビタミンK2の働きは?
栄養素としてのビタミンKにはビタミンK1とビタミンK2の二種類があります。ビタミンK2は体内への吸収性と利用率が高いのですが、ビタミンK1は悪いことが確認されています。
ビタミンK2はおもに納豆菌などの発酵菌が作り出し、ビタミンK1は野菜類や海藻類に含まれます。
ビタミンK2は血液凝固と骨形成に関わっており、非常に重要なビタミンとなります。納豆には、ビタミンK2が非常に多く含まれるため、特に閉経した高齢女性には必須の栄養素となります。
また、新生児にも必須の栄養素で、新生児メレナ(胎児や新生児で出血がとまらない病気で過去には死亡が多発する時代もあった)の予防に投与することが推奨されています。
納豆に多く含まれるビタミンB群
ビタミンB群は代謝に関わるビタミンで、不足するとさまざまな病気の原因となります。肌荒れやイライラがとまらない、疲れがとれない、口内炎がよくできる、などの症状がある場合、ビタミンB群が不足している可能性が高いと考えられます。
納豆に多く含まれるビタミンB群は、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、パントテン酸、ビオチンです。
納豆は他の食品とくらべて多くのビタミンB2を含んでおり、2パックで1日に必要な量の半分程度を摂取できるため、おすすめです。
葉酸は脳神経形成に重要な役割をはたすため、妊娠中や乳児では積極的な摂取が推奨されています。妊娠中の女性が納豆を毎日食べることは、胎児の脳神経の発達を助ける効果が期待できるため、ぜひ積極的に食べてほしいです。
納豆の機能性成分について
納豆に含まれる機能性成分(健康の維持や向上に役立つ成分のこと)について、書籍や関連ホームページなどで調べ、簡単にまとめました。納豆は、これ以外にも多くの機能性成分を含んでいます。
なお、詳細については他の記事で紹介していますのでぜひご覧ください。
成分名 | 期待される健康効果(機能性)など |
ナットウキナーゼ | 納豆の独自成分。血栓を溶かす作用があり血栓症の予防効果が期待される。 |
ジピコリン酸 | 納豆の独自成分。強い抗菌作用があり、食中毒の予防効果が期待される。赤痢菌や病原性大腸菌O-157などにも殺菌効果あり。 |
ポリアミン | 納豆やチーズ、キノコ類に多く含まれ、抗炎症作用を有する。アンチエイジング作用が期待される。 |
レバン | 水溶性食物繊維の1種。納豆のネバネバに含まれ、整腸作用が期待される。 |
ポリガンマグルタミン酸 | 納豆のネバネバに含まれ、免疫調整作用が期待される。 |
ビタミンK2 | 納豆に非常に多く含まれる。血液凝固や骨形成、骨維持に関わる。 |
食物繊維 | 水に溶けない不溶性食物繊維と水に溶ける水溶性食物繊維の割合が、理想的な割合である2:1で含まれ、便通改善効果が期待される。その他の食品の中でもかなり多く含まれる。 |
大豆イソフラボン | 女性ホルモンに似た働きを示す。納豆では吸収性の高いアグリコン型として存在するため、豆腐や豆乳よりも効率が良い。 |
レシチン | 脳の働きに必要な成分。認知症の改善効果が期待される。 |
納豆をデザートで!
納豆は発酵により独特な匂いや風味がある食べものです。関西の方は特に食習慣がなく、その匂いのため食べられないという人が多いそうですが、最近は納豆の健康効果が広く知られるようになり、関西でも納豆を食べる人が増加しています。
それでもやはり、匂いというハードルは高いので、匂いを低減する食べやすいレシピとして納豆デザートを紹介するので、食べてみてくださいね!
納豆を食べることで代謝をアップするビタミンB群、納豆に含まれる食物繊維や微量元素を補給して便通改善と美肌を目指しましょう。
バナナ納豆 | 納豆1パックに薄く輪切りまたはさいの目切りしたバナナ1/2本を加えて軽くまぜる。フルーティーな香りで納豆臭が激減し、とても食べやすい。食物繊維も増量されるので便通改善にはおすすめ! |
きなこ納豆 | 納豆1パックに小さじ1杯のきな粉と同量の三温糖か黒砂糖を加え軽く混ぜる。混ぜすぎるとネバネバが強力になり、まるでお餅のようになるが、きなこもち風デザートと考えるとよいです。なお、はちみつや黒蜜を少量かけるとさらに食べやすくなる。簡単なのでおすすめ! |
納豆パフェ | もっとも納豆を感じさせないデザート!納豆1パックにさいの目切りしたバナナ1/2本を混ぜ、少し室温において柔らかくしたバニラアイスを適当量かけるとパフェ風に! カカオ分86%のチョコを湯煎して作ったソースをかけるとさらに納豆の風味がなくなり、ビターな大人の味付けになる。バナナ納豆よりも食物繊維がマシマシのグルテンフリーのデザートで、パンケーキなどよりかなり健康的なデザート。 |
まとめ
納豆を毎日食べることで、特に女性や高齢者の方々にとって健康維持を助ける作用が期待できます。
骨密度の維持、整腸作用、美肌効果、新生児のアレルギー予防効果、新生児メレナの予防効果、血栓症の予防、アンチエイジング効果など納豆のさまざまな機能性に着目してください。
納豆デザートは納豆が苦手な方でも豆のデザートと考えて納豆を食べることができるので、無理のない範囲で納豆食を始めてみてはいかがでしょうか?
なお、ワーファリンなどの抗血栓薬を服用されている方は、かかりつけのお医者様に納豆食について必ず相談してください。
納豆についての他の記事も読んで納豆のよさをさらに理解してくださり、1人でも多くの人が納豆を食べるようなって頂ければ幸いです。
【納豆を毎日食べるとどうなるか?】の答えは、【健康維持に役立ちます!】でした。
参考資料
・奇跡の納豆パワー(須見洋行著)
・納豆は効く(須見洋行著)
・文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
・厚生労働省 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A
・厚生労働省 食物と薬の相互作用(理論編)薬理学的相互作用