『納豆』は日本で愛され続ける伝統食ですが、一方、その独特なにおいのため、日本人でも食べられない人がいます。
また、外国人では『におい』だけでなく『ネバネバ』も苦手という人が多く、納豆が敬遠されてきました。
しかし、最近、海外での納豆人気が爆発しており、輸出量も年ごとに右肩上がりになっています。特に、アメリカと中国で人気に火が付いている状況です。
ついに世界ブランドとして納豆が羽ばたく日が来たのかもしれません。これはすごいことですよね。
本記事では、海外での納豆人気の近況と納豆が苦手な人へのおすすめの食べ方を徹底解説します。
ぜひ参考にして、あなたも納豆食を始めませんか?
納豆の輸出量は年々増加している!
2023(令和5)年10月に東京税関が発表した納豆の輸出に関する資料によると、2017年と比べて、2021年および2022年は180%前後にまで増加しています。2022年の全国合計輸出量は約2,224tです。すごい量になっています。納豆は45gが3ヶで1パック包装のものが多いため、1,660万パックも輸出されていることになりますね。
納豆の主要な輸出先は中国とアメリカ
同じく、2023(令和5)年10月に東京税関が発表した納豆の輸出に関する資料によると、2022年の国別輸出数量では、中国が1位でアメリカが2位でした。
中国には約931t、アメリカには約870tもの納豆が輸出されました。
なお、香港と台湾への輸出量を加えると実質的な中国への輸出量は約1,424(全体の45.3%)にも達します。
中国では日本の食品に対する反発も強いのですが、納豆などの健康に寄与する発酵食品は認めているのでしょうね。
実際に本サイト(納豆人甚Gene:https://natto-daisuki.com/)にアクセスされる海外の方は、アメリカ、中国、イギリス、カナダなどに住んでいる人のようです(Google analyticsのレポートより)。
納豆の「敬遠されるにおい成分」について
納豆の独特なにおいは、納豆菌が煮豆を発酵する際に生じる発酵産物です。
80以上もある納豆臭の構成成分の中で、ピラジン類(ジメチルピラジン、トリメチル ピラジ)や短鎖分岐鎖脂肪酸(イソ吉草酸、イソ酪)などの少し鼻につんとくるものが主要な成分となります。
また、冷蔵庫から出して放置すると、豆のタンパク質が分解してアンモニアが生成されるため、更に臭くなるうえ毒性が生じます(アンモニアは強い毒性があります)。
なお、クール宅急便で届いた納豆の場合は、返品や代替品対応のために運送屋とメーカーに問い合わせし、現品を冷蔵または冷凍保管しておきましょう。
納豆の「敬遠されるネバネバ成分」とは?
納豆のネバネバ成分は、ポリガンマグルタミン酸(グルタミン酸がたくさんつながっている物質)とレバン(果糖がたくさんつながった多糖(別名フルクタン))から出来ています。
ちなみに、この2つの成分は免疫を活性化させる働きがあり、納豆の健康効果を支える機能性成分です。
詳しくは、関連記事『幼児や高齢者におすすめ!【納豆の免疫調節作用】機能性成分と健康効果を徹底解説』をご覧ください。
納豆好き外国人が増えている理由は?
健康効果により納豆ブームが再燃し、食べる外国人が増えているのです。
以前に、健康に良いということで海外でもブームになったのですが、流行が過ぎ去ってブームも終焉していました。
そんなとき、2020年に「ブリティッシュ メディカル ジャーナル」というイギリスの権威ある医学誌に「納豆食が長寿に繋がる」という論文が掲載されたことにより、アメリカやヨーロッパなどの海外で納豆ブームが再燃しているのです。
この論文は日本でもおなじみのもので、日本の国立がん研究センターが発表しました。
この論文によると、総大豆食品摂取量は死亡との明らかな関連は見られないが、男女ともに発酵性大豆食品の摂取量が多いほど、死亡全体(総死亡)のリスクの低下がみられたそうです。
つまり、納豆や味噌などの大豆発酵食品が死亡リスクを減らすことが明らかになりました。また、大豆発酵食品の中でも、納豆が一番強い効果があったそうです。
さらに、男女とも循環器疾患で亡くなるリスクが低下することが分かりました。
これにともない、海外でも納豆製造が盛んになっています。
実は日本以外ではアメリカに一番多くメーカーがあるそうです。びっくりですね。
しかし、生産量や品質の点で、日本からの輸出を求める外国人や国が多いため、輸出量が大きく増えているのです。
ssociation of soy and fermented soy product intake with total and cause specific mortality: prospective cohort study. Ryoko K. etal. BMJ 2020;368
フランスでも納豆ブームが再燃してます!
フランスでは、ブルーチーズのようなかなりにおいや味にクセがある色々なチーズを食べます。そのため、発酵臭にはある程度の許容性があり、納豆のにおいも大丈夫だという人も多いです。
しかし、やはりあの『ネバネバ』だけは無理!という人が多く、なかなか浸透しなかった納豆ですが、ついにフランスの牙城を突破する最終兵器が完成したのです。
フランスやドイツへ納豆を輸出するために、茨城県工業技術センターが、粘り成分の産生量が少ない納豆菌を発見し『IBARAKI ℓst-1』と命名しました。
納豆メーカー数社と共同開発して、この菌を使ったねばりの少ない納豆を繰り出すことに成功し、『豆乃香(まめのか)』という名称に決定したそうです。
久保先生の論文によれば、納豆に豊富に含まれるビタミンK2やポリアミン量は変わらないのですが、ネバネバ成分の産生量を低下させることに成功し、最大粘度が半分以下になりました。
満を持して、この『豆乃香』単体や『豆乃香』を使った料理を2015年にフランス・リヨンで開かれた第17回シラ国際食品見本市で展示したところ、毎日2000食が即完食という好評ぶりだったそうです。
やはり、ネバネバを制したことが成功につながったようですね。
Synthesiology English edition、kubo and nakagawa、2018 年 11 巻 1 号 p. 1-12
日本に来て『納豆』が好きになった外国人もいます!
元サッカー選手のストイコビッチ氏
はずせないのは、日本でも活躍したサッカーのストイコビッチさんです。
セルビア(旧ユーゴスラビア)出身の彼は、最初こそ拒否反応を示したそうですが、どんどん日本食を好きになりました。
そして、ついには「ホテルの朝食に納豆がない!」と激怒したという逸話が残るくらい、納豆好きになったそうです。鮎の塩焼きも大好きとのことで、本当に日本食を愛しているのでしょうね。
日本人としては、嬉しい限りです。
日本文学研究の大家ドナルド・キーン氏
日本文学と日本文化研究に功績を残したアメリカ出身のドナルド・キーン氏も外せない人になります。
最初は日本人に受け入れてもらうために納豆を食べ始めたのですが、その美味しさの虜となり、毎日食べるようになったそうです。
フランスで納豆を作るローラン・ヴィラット氏
ヴィラットさんは1973年(25歳)に、フランスから青年海外協力隊員として来日しましたが、最初は「納豆は食べても美味しいとは思えなかった」そうです。
しかし、何度か挑戦するうちに、発酵食品の香りと美味しさに魅了され、ついに納豆を好きになりました。
帰国すると納豆が食べられず困ったため、日本の友人からもらった納豆菌で納豆作りを始めたのでした。
フランスでは納豆作りに使う道具や器具がなかったため、日本へ再来日し、職人さんのアドバイスを頼りに、ついに安定して高品質な納豆を作ることに成功しました。
フランスでは知らない人はいないとも言われる名物納豆『ドラゴン納豆』です!
すごい情熱ですね。150g入りで4.5ユーロらしいです。
納豆が苦手な人におすすめの食べ方
においやネバネバに慣れて美味しさを感じた人は、そのまま食べることが可能でしょう。しかし、まだまだ納豆初心者の方は、下記の食べ方を参考にしてください。
オリーブ油をかける!
オリーブ油をかけると、においが中和され、身体にも良いという人もいます。
なお、この食べ方は便秘改善にも繋がりますので、おすすめです!ただし、油の過剰摂取には注意しましょう。
味噌汁やスープなど汁物に入れる!
どうしてもネバネバが気になる人は、みそ汁や具入りのスープに入れると匂いもネバネバもあまり気にならないと好評です。
ただ、ナットウキナーゼの血栓溶解効果を期待する人は、少し冷ましたみぞ汁やスープに入れましょう。
また、少し冷めた方が納豆のにおいが弱まるのでおすすめです。
玉子焼きに混ぜる!
玉子焼きに出汁と納豆を入れると納豆をあまり感じないため良いという人もいました。ただ、加熱するとにおいが強くなるため、少量でまずはお試しください。
お好み焼きに混ぜる!
日本でも王道の食べ方です。納豆の健康成分の働きは低下しますが、美味しいため、おすすめします。まずは、はじめの一歩でしょうか。
カレーのトッピングに!
これはおすすめです。カレーの風味で納豆がマスキングされるため、納豆風味はほとんどありません。
熱々のカレーよりも少しだけ冷ましたカレーにすると、熱に弱いナットウキナーゼの効果もしっかり担保されます。
納豆のパックをあけて、カレーパウダーをかけて食べるのも簡単でいいですよ!
実は、私の7歳の子どもも「うまい」と絶賛していました。味変になるので納豆好きな人にもおすすめです。
カレーの粉のピリ辛風味とスパイスが納豆のにおいを完全に消し飛ばします。
やはり、日本でも古くから愛されている納豆汁が最も食べやすそうですね。
味噌汁に入れるときは、熱々ではなく、少しだけ冷まして(60℃前後)から入れると、ナットウキナーゼの効果が担保されるのでおすすめです。
慣れてきたら、生の納豆にチャレンジして頂きたいです。
ナットウキナーゼの健康効果については関連記事『納豆の健康成分『ナットウキナーゼ』の秘密を徹底解説!実は熱に弱かった・・・』をご覧ください。
まとめ|外国人にも愛される納豆を日本人も食べましょう!
納豆や発酵食品の健康効果を目の当たりにしてきた元バイオ研究者の私が、納豆好きな外国人についての記事をまとめました。
納豆は健康維持に役立つスーパーフードなので、みなさんもぜひ食べてください。
関西や香川県、中国地方では納豆嫌いの人がまだまだたくさんいらっしゃいますが、外国の方を見習ってチャレンジしてみませんか?
苦手な人でも取り組みやすいおすすめの食べ方を紹介してきますね。
おすすめは味噌汁に入れる!
匂いやネバネバが苦手なら、味噌汁に入れて食べるのがおすすめです。
おつまみ系から始める!
また、匂いが少ない『フリーズドライ納豆』や『ドライ納豆』などをおつまみで食べるのもいいですよ。
フリーズドライ納豆は、納豆をそのまま真空凍結乾燥したものなので、栄養素はそのままで常温保管できますし、調味しないものならば塩分も気にしなくて良いので超おすすめです。
デザートとして食べる!
私が個人的におすすめしたいのが、デザート感覚で納豆を食べることです!
大豆を原料とした納豆は豆製品と考えれば、そんなに的外れではないと思っています。
- バナナと混ぜるとフルーティになり匂いが激減します。
- チョコやバニラアイスと混ぜても匂いを感じなくなります。
詳しくは、下記の関連記事をご覧ください。
関連記事『【女性におすすめ】納豆を毎日食べる健康効果は?栄養や機能性など徹底解説!』
関連記事『【納豆おすすめレシピ】健康効果を活かしたおやつを紹介!』
納豆のバリエーションに悩まれている人は、関連記事『【おすすめ納豆レシピ】うどんをもっと美味しく健康的に食べよう!』もご覧ください。
本記事を参考にして、世界中の人が納豆食を続けてくれると嬉しい限りです。
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