『納豆』は日本で愛され続ける伝統食ですが、一方、その独特なにおいのため、日本人でも食べられない人がいます。
また、外国人は『におい』だけでなく『ネバネバ食材』も苦手という人が多く、納豆のネバネバも嫌われる要因です。
外国人にとっては「絶対無理!」となってしまう人が大多数ですが、ごくまれに「なんか旨いかも?」となる人が居るなど、好き嫌いがはっきりと分かれる食品になります。
本記事では、外国人でも納豆を愛してやまない人が、どのように納豆好きになったのか?どんな食べ方がおすすめなのか?などをまとめました。
納豆を試してみたい外国人の方や日本の方はぜひ参考にしてください。
2023年5月10日 新情報『フランスの納豆状況と納豆ドラゴン』を追記しました。
フランスの人に負けないよう、日本でも納豆食を始めましょう!
納豆のにおいはどんな成分なの?
納豆の独特なにおいは、納豆菌が煮豆を発酵する際に生じる発酵産物です。
80以上もある納豆臭の構成成分の中で、ピラジン類(ジメチルピラジン、トリメチル ピラジ)や短鎖分岐鎖脂肪酸(イソ吉草酸、イソ酪)などの少し鼻につんとくるものが主要な成分となります。
また、冷蔵庫から出して放置すると、豆のタンパク質が分解してアンモニアが生成されるため、更に臭くなるうえ毒性が生じます(アンモニアは強い毒性があります)。
ちなみに納豆のネバネバってどういう成分なの?
納豆のネバネバ成分は、ポリガンマグルタミン酸(グルタミン酸がたくさんつながっている物質)とレバン(果糖がたくさんつながった多糖(別名フルクタン))から出来ています。
ちなみに、この2つの成分は免疫を活性化させる働きがあり、納豆の健康効果を支える機能性成分です。
詳しくは、関連記事『幼児や高齢者におすすめ!【納豆の免疫調節作用】機能性成分と健康効果を徹底解説』をご覧ください。
納豆が好きな外国人っているの?
実はいま、納豆ブームが再燃し、食べる外国人が増えています。
以前に、健康に良いということで海外でもブームになったのですが、流行が過ぎ去ってブームも終焉していました。
そんなとき、2020年に「ブリティッシュ メディカル ジャーナル」というイギリスの権威ある医学誌に「納豆食で長寿に繋がる」という論文が掲載されたことにより、アメリカやヨーロッパなどの海外で納豆ブームが再燃しているのです。
これにともない、海外でも納豆製造が盛んになっています。
実は日本以外ではアメリカに一番多くメーカーがあるそうです。
びっくりですね。
フランスで納豆ブームが再燃してます!
フランスでは、ブルーチーズのようなかなりにおいや味にクセがある色々なチーズを食べます。そのため、発酵臭にはある程度の許容性があり、納豆のにおいも大丈夫だという人も多いです。
しかし、やはりあの『ネバネバ』だけは無理!という人が多く、なかなか浸透しなかった納豆ですが、ついにフランスの牙城を突破する最終兵器が完成したのです。
フランスやドイツへ納豆を輸出するために、茨城県工業技術センターが、粘り成分の産生量が少ない納豆菌を発見し『IBARAKI ℓst-1』と命名しました。
納豆メーカー数社と共同開発して、この菌を使ったねばりの少ない納豆を繰り出すことに成功し、『豆乃香(まめのか)』という名称に決定したそうです。
久保先生の論文によれば、納豆に豊富に含まれるビタミンK2やポリアミン量は変わらないのですが、ネバネバ成分の産生量を低下させることに成功し、最大粘度が半分以下になりました。
満を持して、この『豆乃香』単体や『豆乃香』を使った料理を2015年にフランス・リヨンで開かれた第17回シラ国際食品見本市で展示したところ、毎日2000食が即完食という好評ぶりだったそうです。
やはり、ネバネバを制したことが成功につながったようですね。
Synthesiology English edition、kubo and nakagawa、2018 年 11 巻 1 号 p. 1-12
日本に来てから『納豆』が好きになった外国人と言えば?
元サッカー選手のストイコビッチ氏
はずせないのは、日本でも活躍したサッカーのストイコビッチさんです。
セルビア(旧ユーゴスラビア)出身の彼は、最初こそ拒否反応を示したそうですが、どんどん日本食を好きになりました。
そして、ついには「ホテルの朝食に納豆がない!」と激怒したという逸話が残るくらい、納豆好きになったそうです。鮎の塩焼きも大好きとのことで、本当に日本食を愛しているのでしょうね。
日本人としては、嬉しい限りです。
日本文学研究の大家ドナルド・キーン氏
日本文学と日本文化研究に功績を残したアメリカ出身のドナルド・キーン氏も外せない人になります。
最初は日本人に受け入れてもらうために納豆を食べ始めたのですが、その美味しさの虜となり、毎日食べるようになったそうです。
フランスで納豆を作るローラン・ヴィラット氏
ヴィラットさんは1973年(25歳)に、フランスから青年海外協力隊員として来日しましたが、最初は「納豆は食べても美味しいとは思えなかった」そうです。
しかし、何度か挑戦するうちに、発酵食品の香りと美味しさに魅了され、ついに納豆を好きになりました。
帰国すると納豆が食べられず困ったため、日本の友人からもらった納豆菌で納豆作りを始めたのでした。
フランスでは納豆作りに使う道具や器具がなかったため、日本へ再来日し、職人さんのアドバイスを頼りに、ついに安定して高品質な納豆を作ることに成功しました。
フランスでは知らない人はいないとも言われる名物納豆『ドラゴン納豆』です!
すごい情熱ですね。150g入りで4.5ユーロらしいです。
外国人が納豆を食べるときのおすすめは?
においやネバネバに慣れて美味しさを感じた人は、そのまま食べることが多いようですが、まだまだ納豆初心者の方は下記の食べ方を参考にしてください。
オリーブ油をかける!
オリーブ油をかけると、においが中和され、身体にも良いという人もいます。なお、この食べ方は便秘改善にも繋がりますので、おすすめです!
味噌汁やスープなど汁物に入れる!
どうしてもネバネバが気になる人は、みそ汁や具入りのスープに入れると匂いもネバネバもあまり気にならないと好評です。
玉子焼きに混ぜる!
玉子焼きに出汁と納豆を入れると納豆をあまり感じないため良いという人もいました。
お好み焼きに混ぜる!
日本でも王道の食べ方です。納豆としての機能はありませんが、はじめの一歩でしょうか。
カレーのトッピングに!
これはおすすめです。カレーの風味で納豆がマスキングされるため、納豆風味はほとんどありません。
熱々のカレーよりも少しだけ冷ましたカレーにすると、熱に弱いナットウキナーゼの効果もしっかり担保されます。
納豆のパックをあけて、カレーパウダーをかけて食べるのも簡単でいいですよ!
カレーの粉のピリ辛風味とスパイスが納豆のにおいを完全に消し飛ばします。
やはり、日本でも古くから愛されている納豆汁が最も食べやすそうですね。
味噌汁に入れるときは、熱々ではなく、少しだけ冷まして(60℃前後)から入れると、ナットウキナーゼの効果が担保されるのでおすすめです。
慣れてきたら、生の納豆にチャレンジして頂きたいです。
ナットウキナーゼの健康効果については関連記事『【納豆の栄養-01】豊富に含まれる健康成分「ナットウキナーゼ」を徹底解説!』をご覧ください。
まとめ|外国人にも愛される納豆を日本人も食べましょう!
納豆や発酵食品の健康効果を目の当たりにしてきた元バイオ研究者の私が、納豆好きな外国人についての記事をまとめました。
納豆は健康維持に役立つスーパーフードなので、みなさんもぜひ食べてください。
関西や香川県、中国地方では納豆嫌いの人がまだまだたくさんいらっしゃいますが、外国の方を見習ってチャレンジしてみませんか?
苦手な人でも取り組みやすいおすすめの食べ方を紹介してきますね。
おすすめは味噌汁に入れる!
- 匂いやネバネバが苦手なら、味噌汁に入れて食べるのがおすすめです。
おつまみ系から始める!
- また、匂いが少ない『フリーズドライ納豆』や『ドライ納豆』などをおつまみで食べるのもいいですよ。
フリーズドライ納豆は、納豆をそのまま真空凍結乾燥したものなので、栄養素はそのままで常温保管できますし、調味しないものならば塩分も気にしなくて良いので超おすすめです。
デザートとして食べる!
私が個人的におすすめしたいのが、デザート感覚で納豆を食べることです!
大豆を原料とした納豆は豆製品と考えれば、そんなに的外れではないと思っています。
- バナナと混ぜるとフルーティになり匂いが激減します。
- チョコやバニラアイスと混ぜても匂いを感じなくなります。
詳しくは、下記の関連記事をご覧ください。
関連記事『【女性におすすめ】納豆を毎日食べる健康効果は?栄養や機能性など徹底解説!』
関連記事『【納豆おすすめレシピ】健康効果を活かしたおやつを紹介!』
納豆のバリエーションに悩まれている人は、関連記事『【おすすめ納豆レシピ】うどんをもっと美味しく健康的に食べよう!』をご覧ください。
本記事を参考にして、世界中の人が納豆食を続けてくれると嬉しい限りです。
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