みなさんは、なぜ『納豆はおなかに良い』と言われるのか、ご存じでしょうか?
その理由は、下記に示すように2つあります!
- 『ジピコリン酸』という抗菌成分を豊富に含み、食中毒の予防に効果が期待できるため。
- 『食物繊維』を豊富に含み、便通改善などの効果が期待できるため。
本記事では、①の『納豆に豊富に含まれるジピコリン酸の健康効果』について解説します。
なお、②の『納豆に含まれる食物繊維による健康効果』については、以下の関連記事をご覧ください。
関連記事『女性必見!【納豆の腸内環境改善効果】美肌や腸活に役立つ機能性成分を徹底解説!』
これまで食品などの研究開発や商品開発などに携わってきた元研究者である私が、これまでの経験や知識を活かして納豆の健康効果についてまとめました。
ジピコリン酸ってどういう成分なの?
ジピコリン酸は枯草菌が作る抗菌物質であり、特に納豆菌で多く作られることが分かっています。そのため、納豆の独自成分と言っても過言ではありません。
ジピコリン酸は病原性大腸菌や溶連菌、ビブリオなどに対して強い抗菌作用を示します。
なお、近藤先生の論文では、ジピコリン酸は納豆菌の生育環境が悪化し、芽胞が作られる際に多く作られる成分とのことです。納豆製造において、熟成後の納豆を冷蔵保管する際に恐らく大量に出来ていると考えられます。
須見先生の論文では、市販の納豆100g(約2パック分)あたり、6~48mgものジピコリン酸が含まれているようです。よって、納豆を食べることで食中毒の予防効果が期待できるという話には納得がいくと思います。
市販の納豆で大きくばらつきがある原因として、納豆菌の種類の違いや製造時間などの違いなどが考えられます。
近藤ら、納豆菌による微量生理活性物質の生産、2003年、愛知県産業技術研究所研究報告、ISSN. 13479296
須見ら、納豆および納豆菌中の抗菌成分ジピコリン酸、1999年、日本農芸化学会誌、73 巻 、12 号、 P.1289-1291
ジピコリン酸による食中毒予防効果
ジピコリン酸の抗菌作用
ジピコリン酸の抗菌作用は高く、in vitroの試験(シャーレや試験管などの体外で行なう試験のこと)では、病原性大腸菌O-157の増殖を抑制し死滅させることが、倉敷芸術大学の須見教授の研究で明らかになっています。
また、ピロリ菌や赤痢菌、チフス菌などにも抗菌性を示し、戦前の日本海軍では食中毒予防に使われており、戦時中にはドイツ軍でも納豆を燻製にして食したそうです。
江戸時代にも食中毒予防として食べられていた!
さらに、衛生状態が悪く食中毒による死亡者が多かった江戸時代にも、その効果が認められ「本朝食鑑 」という食べ物の本にも記載があるそうです。
自衛隊も持っていくフリーズドライ納豆
現代でも自衛隊が海外出張に行く際にも、フリーズドライ納豆を持ち込んで常備食にしているそうです(取引先の重役の方から教えていただきました)。
さすが納豆、ですね。
納豆をフリーズドライ加工で乾燥すれば、湿気させなければ常温保管できますし、食べる際にはネバネバしないためとても食べやすいです(後記しています)。
普通の納豆であれば冷蔵保管が必須ですが、乾燥させることで常温保管が可能となり、どこにも持ち運べるため、利便性は格段に向上します。
しかし、口の中でネバネバが復活して水分も取られるため、飲み物が必要になりますが・・・。
確かに、酵母菌によるアルコール生成がないとお酒にならないため、納得の話ですね。
納豆の歴史と機能成分,須見 洋行,日本味と匂学会誌,2007 年 8 月,Vol.14,No.2,129-136
「チフス」の納豆菌療法の意義,櫻田,日本傳染病學會雜誌,1937年,11巻,7号,755-761
納豆 および納豆菌中の抗菌成分 ジピコ リン酸,須見ら,Nippon Nogeikagaku Kaishi,1999,Vol.73,No.12,1289-1291
まとめ|食中毒を防ぐためにも納豆を食べよう!
納豆は古くから食中毒防止のために食べられている食品であり、抗菌成分の『ジピコリン酸』を豊富に含むことを解説しました。
現代では、自衛隊が海外活動する際にはフリーズドライ納豆(納豆菌は生きたまま、常温保存できて持ち運べるように加工した納豆)を持参するくらい、納豆の食中毒予防効果はすごいということです!
携帯に便利な納豆もおすすめです!
川口納豆さんから乾燥納豆(フリーズドライ納豆)が販売されています。
フリーズドライとは、冷凍させた食品を真空状態下でわずかな加温により水分を昇華させて乾燥させる技術です。
フリーズドライ製法で乾燥させた製品は乾燥による品質劣化がほとんどなく、水分が非常に少なくなります。
水分活性が低いため、雑菌の繁殖や納豆菌の代謝を完全に停止させることができ、常温保管が可能です。常温保管ができるため、手軽にどこにでも持ち運びが可能になり、扱いやすく食べやすいという素晴らしい利点があります。
ただ、大掛かりな設備が必要なため、加工費が高額であり、出来上がった商品価格も高くなることが唯一の欠点です。
私自身も高機能な犬用おやつ「おなか納豆」というフリーズドライ納豆を独自製法で企画開発して上市した経験があり、納豆のすごさを目の当たりにしました。
納豆は古くから食中毒防止のために食べられている食品であり、抗菌成分の『ジピコリン酸』を豊富に含むことを解説しました。
現代では、自衛隊が海外活動する際にはフリーズドライ納豆(納豆菌は生きたまま、常温保存できて持ち運べるように加工した納豆)を持参するくらい、納豆の食中毒予防効果はすごいということです!
納豆を食べる際に気を付けるべきこと
- ビタミンK2が関与するワーファリンなどの抗血栓薬を服用されている方は、薬の効果を弱めるため、納豆は食べないでください。
食べても良いかどうかはかかりつけのお医者様にご相談ください。
- 納豆にはセレンやイソフラボンなどの摂取上限のある成分が豊富に含まれているため、1日に2パック程度とし、食べすぎないようにしてください。
本記事を読んだ人が、納豆食を取り入れ、健康維持に役立ててくだされば幸いです。
ぜひ今日から納豆を毎日食べてくださいね!
『【徹底解説】納豆を食べると骨粗しょう症予防が期待できる理由はこれだ!』という関連記事もご覧ください。
『納豆に期待される健康効果についてのまとめ記事』もぜひ参考にしてください。
納豆の素晴らしさを広めるためにランキングに参加しています。ぜひ、下のバナーをクリックして応援してください。
にほんブログ村